祝!旋光の輪舞DUO本日発売ということで、早速手に入れてストーリーモードはクリアした。
中々のボリュームと豪華声優陣による演技で大変楽しめた。
その後友人が遊びに来て先ほどまで対戦をしていたが、アーケードとは色々違うがけっこう楽しめそうな予感。
ということで、DUO発売記念お蔵だし。
昔書いてmixiやサイトに掲載していたSSを再掲載しよう企画。
旋光の輪舞については
G.revのサイトを参照のこと。
こちらの話は今作の2年前の前作からさかのぼる事2年前の前日談である。
民間警察G.S.Oの3人組のうちチャンポと櫻子の出会いを描いている。
剃刀櫻子「あー、知~らな~い。アンタ ウチの隊長怒らせると怖いよ~?」
「あっはっはっはっはっは……、何の冗談か知らねえがあんな旧式のランダーで何ができる」
「知らないって幸せだね…」
「そうね…」
カレル追跡任務についていたG.S.Oの前に現れたS.S.Sのランダー乗りを生暖かい目で見つめながら、ツィーランとチャンポはため息をついた。
「櫻子さんが巡回に出てるときに見つかるなんて運が悪いね」
「その上あの暴言。知らないってホンッッッット怖いわよね。よりによってトライアドのこと馬鹿にするなんて」
チャンポはなにか嫌なことを思い出したようにツィーランにもたれかかった。
「おねーさんも大変だったみたいだもんねぇ」
「そうよ!手加減知らないんだからっ、あの人は!」
チャンポは虚ろな目でどこか遠くを見ている。
「詳しいことはあんたにも言ってなかったっけ…」
「ま、まぁ大体は聴いているけど、ね」
---2年前G.S.O第二宙域支部櫻子隊事務所---
「トライアドを乗り換えろ。と?」
「そ。本社がそう言って来てるんだよねぇ」
「どういうことでしょうか?私、問題なく任務をこなしているはずですが?
先日も違法人工人間製造プラントの破壊任務を問題なく終えましたし」
支社長はにっこり笑いながら異様なプレッシャーをかけてくる櫻子に、苦笑を浮かべながら本社からの通達を伝える。
「ん~、三条君ってばそれで目立っちゃったでしょ?
救助してきた人工人間を無理やり『監視目的』って言って自分家つれてっちゃうし…。
あれ、大変だったんだよぉ、理由でっち上げて本社納得させるの」
「それについては、感謝しています。
でも、あの子を何も覚えていない怯えて泣いているあの子を放っておくことはできなかったんです!」
「うんうん。判ってるよ~。最近けっこう元気になってきたみたいじゃないか?彼」
「えぇ!私のことも『櫻子さん』って呼んでくれるようになって、家に帰るとすぐに走りよってきてくれて、ず~っと後ろをついてくるんですよぉ」
「随分懐いたもんだねぇ」
「それから、それからぁ」
「くれぐれも間違いは起こさないようにね…」
「なっ!?ツィーくんはそんなんじゃありません!!」
たっぷり10秒ほど顔を赤くさせたり青くさせたりした後、櫻子は叫んだ。
「あ、はいはい。判ってますって。
で、だ。その事でちょ~っと目を付けられちゃってねぇ。
君、ツナミのトライアドに乗ってるじゃん?」
「えぇ、あの子が私には一番合ってますから」
「確かに、君ほどあの機体を使いこなす人は居ないだろう。
でも、あれはゴディヴァのランダーじゃない。
うちは民間警察であるとともにゴディヴァの一部だ。
ゴディヴァのCMもしなくちゃいかんのよ」
「それは…。そうですけど…」
支社長の言い分も判る。
実際、櫻子に乗り換え命令が出たことは何度もある。
その度に「警察である以上ランダー犯罪に対応出来ることが最優先事項であり、自分はトライアドを操ることによりそれを一番効率良く行えるのだ」と言う主張を繰り返してきた。
しかし今回は櫻子が無茶を本社に通してもらった後である。
ここで従っておく方がツィーランのためでもあるだろう。
G.S.Oが責任を持ってということになっているのだ、櫻子が首になったりすればツィーランと一緒に暮らすことも出来なくなる。
笑顔を取り戻したツィーランは4年前の事件から傷ついていた櫻子を確実に癒してくれていた。
彼を手放したくない。
しかしトライアドも4年前から、いやそれ以前軍に配備された際の適正試験を終えた時に隊長であった彼から選んでもらった大切なランダーである。
櫻子がツィーランとトライアドどちらを取るか葛藤していると、突然大きな声が響いた。
「はん!?トライアド?潰れかけのツナミの旧式ランダーじゃない。あんた部隊長でしょ? とっととうちの最新式のランダーに乗り換えれば良いじゃない」
「チャンポ?こんな時間にどうしたんだ?」
「第一小隊の連中が喧嘩売ってきたからぶっ潰してやったのよ。
そしたら連中情け無い事に南雲のブスに言いつけに行きやがったのよ。
で、いろいろ言い合ってたらあのブスぶち切れちゃってさぁ。
話にならないから支店長に会いにここに来たってわけ」
「あ~、そうは言ってもねぇ。どうして君は方々に喧嘩売って廻るかなぁ?
今空きのある隊なんて無いしねぇ」
「トライアドなんて使ってる人が居られるくらいなんだから、この天才ベク=チャンポ様が入る隊なんて引く手数多でしょうが」
「へぇ…。随分と自信があるみたいじゃない?」
櫻子がにらんでも怯む気配もない。
「あ~、その子がクラッシャー…」
櫻子のそばに来た支社長がボソっとささやく。
クラッシャー、…ね。
ゴディヴァランダー要請校を飛び級で卒業。
その資質を買われてG.S.Oに入社。
しかしその我の強さと天才的な腕へのやっかみで周囲との協調性が無く度々部隊を追い出される。
追い出される原因のほとんどが部隊長および部隊内の実力者をランダー戦で叩き潰したことによるもの。
ついたあだ名がクラッシャー。
「そうだ。支社長。この子行くところ無いんでしょ?」
「む、行くところが無いんじゃなくて、私を使いこなせる有能な人物がいないのよ!」
「この子が有能だって言うなら、私のランダーと模擬戦してみるっていうのはどう?
この子が勝てば私はランダーをゴディヴァ製に乗り換えるし、うちの隊員にするのも考えるわ」
「お、それはいいねぇ」
「かっつぃ~ん!あんたそんな古いランダーで私に勝つつもりなの?
良いわ!やってやろうじゃない!
その代わりあんた負けたら私が隊長よ!」
「うわ、また無茶言うなぁ…」
全然困っていない口調で支社長はぼやく。
「良いわよ。その条件でやりましょう」
「ほえ面かかせてやる!」
激昂するチャンポと涼しく微笑む櫻子はそれぞれのランダーの格納庫へと向かった。
「ベク=チャンポが倒せなかったってなれば、上も納得せざるを得ないよねぇ…」
支社長はぼそっと呟くとリングやそれぞれのシェルの準備をはじめた。
「それじゃ二人とも、怪我しない程度にがんばってね~」
「えぇ…」
「ぶっとばしてやる!」
クールに微笑む櫻子(でも目が笑ってない)と、舌なめずりしながら自信たっぷりのチャンポ。
そして後にG.S.Oの伝説になる模擬戦が始まった
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「で、どうだったの?」
「ツィー坊…、バカ?」
チャンポは「はぁ」とため息をつく。
「なんで、隊長が、今も、トライアドに乗っているのよ?」
「そうだよねぇ…」
今度はふたりとも普段の訓練を思い出してため息をついた。
「チャンポ、ツィーくん!無駄口叩いてないでシェル転送してっ!!」
「はっ、はひっ!」
「ねえさん、噛んでる…」
「うっさい、ツィー坊!送るよ、隊長!!」
リング内に転送されたブッチャーバードに乗り込むトライアド。
相手のランダーはバニッシュ状態になっていた。
「本当の戦場を見せてあげるわ…」
「なぁっ!ちょっ!待て、ぐわああぁぁぁ~~~」
「うわっ、相変わらずえげつな~」
爆撃に翻弄されるファビアンを見ながら、先ほどまでの話を思い出すように、げっそりとした顔でチャンポがつぶやく。
「カブ=スカート使ってる人がそれを言う?」
「あらぁ?今日は随分反抗的じゃないの、ツィーくん」
「チャンポ!シェルの回収急いで!サボってるんじゃ無いの!」
ツィーランへ視線を移した暇に殲滅は完了していたようだ。
「回収まわしたよ~」
「ツィーくんはいい子ね~」
ツィーランはチャンポに睨まれている隙にこっそりとシェルの回収も済ましていたようである。
チャンポから視線を外しつつニヤリと笑みを浮かべた。
最近チャンポに毒されて来ているわねと櫻子がぼやいているとかいないとか…。
「謀ったな…。ツィー坊…っ」
隊長に怒られる~等と呟きながらうな垂れている。
「くそっ、トライアドなんかに…」
「文句があるならいつでも来なさい、坊や」
櫻子隊長は今日も絶好調。
G.S.O櫻子小隊は今日も元気に宇宙をかけるのであった。